otty.biz.journal "米国一住みたい街"に日本人も注目する理由

米大手運送会社ユナイテッド・バン・ラインが年初に発表する、全米の州とワシントンDCを対象にした人口動態調査で、オレゴンは2013年、2014年と連続で「トップ移住地」に輝いた。ちなみに2位は南部のサウスカロライナ、3位は、そのお隣のノースカロライナだ。

一方、流出した住民が最も多い州はニュージャージーで、次がニューヨーク、3位がコネチカットと、いずれも東海岸が占めている。

ブルームバーグニュースによると、東海岸における製造業の衰退に加え、サービス業やテクノロジー関連の雇用増により、特に25~34歳の若年層が西を目指し、米国経済の「重力」も西方に向かっている。2008年以来、全米で最も国内総生産GDP)の成長率が高い都市はポートランドで、22.8%の成長率を記録。ニューヨーク市は、わずか6.3%だという。

リベラルな政治風土で知られるポートランドには、やはりリベラルなカリフォルニア州サンフランシスコなど、特に西海岸の都市から若者が流入し、エコロジー重視や自由と独立を重んじる気質、起業家精神など、独自の文化がさらにパワーアップされている。

 

市内を走る480キロメートルの自転車専用レーン、自転車を買うお金がない住民を対象にした地元信用組合の自転車ローン、製品をリサイクルし、より価値の高いモノを作る「アップサイクリング」、ラーメンからスシ、メキシカン、タイ料理まで、シェフを夢見る若者が料理のイノベーションを競い合うフードカート(屋台)文化――。

スコットさんが挙げるポートランドらしさは、どれも耳に優しく響く。

シャーウッドさんいわく、今の若者の多くは多額の学生ローンを抱え、不況で苦労した分、お金や安定、就職、個人的利益を人生の大切なゴールだと考えがちだ。「ポートランドに移り住むことは、そうした価値観に背を向ける一つの道かもしれない」(同氏)。

 

エコで、ヘルシーで、飾らず、自分らしさを追求できる都市、ポートランド。米国のみならず、日本でも注目が集まる理由は、成功至上主義が台頭する中、それとは違う生き方や価値を求めている人が増えているからかもしれない。

 

otty.biz.journal portland 酒井